話半分日記

半分は本気、もう半分はジョークです。お手やわらかに。

ジェラート300円。

9月14日。土曜日。東京は曇りときどき晴れ。

頼まれごとが割と遅くまでかかってしまい、アイデアの引き出しの少なさに頭が上がらなかった昨晩の遅さゆえ頭が痛い。目覚めたら昼前だった。昼ごはんは昨日買っておいたものにするか。二階へ。冷蔵庫を開け、あさりを買っておいたことを思い出す。

白米を茶碗に2回、それを水で研ぎ、炊飯器へ。早炊き。その間に座椅子に腰掛けて髭剃りをする。Youtubeのアプリを開く。心理学者のチャンネルを見る。洗面台へ、顔を洗う。

奇妙な夢に食われた。それなりに離れて暮らしているはずの友人が出て来る夢だった。夢の中で仲睦まじくしているその人とは、リアルではしばらく会っていないし、お互いの近況もよくわからない。そういう人に縛られながら、カーテンを開けた。米が炊ける。もう昼ごはんか。

こんもり持った白米に箸をつける。久々の自炊になってしまった。地元で採れた米を食べる。毎食のリアル。唯一産地がありありとわかる場所。

 

大家さんと不動産屋に電話をかける。退去したいのですが。大家さんがすべてやってくれるらしい。不動産屋は話にならなかった。大家さんが良い人でよかった。ヤマトの単身サービスは新しくなるらしく、まだいじれなかった。週明けまでに色々と決めておかなくていはならない。

朝から調子が悪かったけれど、家の仕事をしていたら調子が戻って来た。丸山珈琲の豆を挽いて、2カップ分淹れた。少し粗めに挽くといいよと言われてから、けっこう上手くなったと思う。

散歩に出ることにした。マスタード色の羽織りに、財布と本の入ったトートバッグで、中野の手前を歩く。休みの日だから駅に近くと家族連れが多い。本屋によって、石井ゆかりさんの新作を立ち読みし、見晴らしのよい方へとだけ決めて、また道路に戻る。西日がさしてきた。

途中、老舗の洋菓子店に立ち寄った。ケーキとジェラートジェラートはシングルで250円、ダブルで300円。財布の小銭を確かめて、仄暗い店に入る。

ほのかなハーブの香りと、蛍光灯に焼けたメニューを眺めていたら、奥から腰の曲がったシェフが出て来た。ジェラートはシングルで250円、ダブルで300円と、さっき外で見て来た説明を受ける。紫芋、黒ごま。コーンにたんまり。店を出る。

学生が部活に励んでいた。偉そうな顧問。それぞれに3人ぐらいのグループを作る、バスケ部の面々。奥にいるのは野球部か。ジェラートが溶けそうだ。おいしい。

笛と太鼓の音がする。マンションや家の狭い間を縫うようにして、その出どころを探す。はっぴを来た大人が2人すぎた。それは近い。果たして今日は秋祭りのようだった。交通整理の赤い棒を持った大人が、広いとは言えない道路の端っこで忙しくしている。お神輿は子供サイズ。端の方でみすぼらしいお神輿が、わっしょい声と練り歩く。過ぎ行く車はみんな無関心か。ベンツがあっという間に過ぎた。

眠たくなって来た。足は自然と家の方へ向く。坂の上にある駅から、そろりと下り坂。勾配がきつくなるように、西日も傾いて来た。冷たい風が吹く。

 

9月の中頃に遊ぶ約束をしていた友人に連絡をとる。今日しか空いてないらしい。仕事は落ち着いている。相変わらず自分の人生を歩んでいる、と思わせる芯のある人だ。元気でやってくれ、また来週連絡するよ。

机の上を片付けた。PCの位置を変える。引っ越しを見越して、机を片付けなくてはならない。今回ばかりは少しずつ、ゴミを片付けていかないとならない。そうこうしているうちに、夜も更けた。

 

東京は好きになれなかった。暮らしの密度が濃すぎたし、小綺麗な公園には人が殺到していた。自然は管理されて人工的だったし、人工的なものが自然に食われることはないのだろうと思った。森を歩いていたら、倒壊した家屋に出くわすなんてことはないし、井之頭公園なんかでは。

ただまあ、そう入ってもここ3ヶ月ぐらいは空を見ることが多くなって、それはまあ人工的なもんではない風景だからというのと、割と上を見るっていうのが大事だった。それから風を肌で受けるというのも。木々が生い茂ってないのを言い訳にしない。それから幾分か楽になった。

けれどもここでは共通言語が金と功名心な場所があって、それはたぶんに自分を毒している。それから離れることで東京を恋しくなろうとも、それはそれで良いのだ。ずっと恋していればいい。ここには骨を埋められないのだから。

戻った後に何をしようか考えている。まずは父を縛っていた納屋の倒壊を記述すること、それから新しく建築される納屋を語ることだろうな。前代の構造物と、これからの構造物の間を目撃すること。やりたいことはたくさんある。また明日も片付けだ。